『フェル・アルム刻記』 追補編

§ 六. 大いなる変動

 ここに記されるのは、フェル・アルムの歴史の中でも最大の事件である、“大いなる変動”について、運命の渦中にある者達が、いかな行動をとったかを示すものである。

フェル・アルム正史六一九年(=偽史一〇〇〇年)
(アリューザ・ガルドではアズニール暦一〇五六年となる)
4月1日 フェル・アルム建国千年祭、世界各地で催される。
夕刻、スティン高原にてルード・テルタージとティアー・ハーンが出会う。
6日 ハーン、スティンから去り、クロンの宿りに向かう。
この後ハーンは、ダシュニー~カラファー間の隊商の護衛の任に就く。
26日 ルード、ムニケス山中をさまよい、夕刻ライカ・シートゥレイと出会う。
ルードとライカ、フェル・アルム北部へと転移する。
ハーン、護衛を終え、クロンの宿りに帰る。
27日 昼過ぎ、ルードら、クロンの宿りに着く。夕刻〈緑の浜〉にてハーンと再会する。
フェル・アルム南部のトゥールマキオの大樹にて、デルネア、変化が生じつつあるのを感じ取る。
28日 ルード一行、スティン高原への帰路につく。スティンの山越え。
デルネア、帝都アヴィザノに着き、隷達に指示を下す。
ドゥ・ルイエたるサイファ・ワインリヴ、司祭よりの神託を受け、疾風を各地に派遣する。
5月1日 正午頃、ルード一行は“忌むべきもの”ゲル・ア・タインドゥに遭遇し、これと戦う。
負傷したハーンを救うべく、ルードは剣を握り、魔物を撃退する。聖剣ガザ・ルイアートは、ルードに覚醒をもたらす。
夜になり、一行はスティン高原に着く。
3日 疾風のひとりがスティンの麓ベケット村に至る。
夕刻、ルード一行はスティンの村をあとにし、〈帳〉ことウェインディルのもとに向かう旅に出る。
ハーンの置き手紙を読んだルードの叔父、ディドル・ナッシュは激怒する。
6日 ルード一行、スティンの山越えを終え、クロンの宿りに着く。
7日 疾風、クロンの宿りに至る。
ルードら、クロンの宿りをあとにするも、疾風の襲撃を受ける。
ハーンによって疾風討たれるも、戦いのさなかルードは重傷を負う。
ルードは再びガザ・ルイアートを握りながら意識を失う。そのさなか、ルードの精神はイャオエコの図書館へと偶然に赴き、司書長マルディリーンと対面する。
聖剣所持者と認められたルード、セルアンディルとなる。
“混沌”が出現し、この夜、フェル・アルムの夜空は“星無き暗黒”と化す。
10日 ルード一行、ルシェン街道からはずれ、遙けき野に至る。
11日 デルネア、アヴィザノをあとにし、トゥールマキオの森に向かう。
18日 昼頃、ルード一行は〈帳〉の館に着く。
19日 〈帳〉とルード一行、会談を行う。一行は〈帳〉の館に逗留する。
6月16日 ハーン、単身で〈帳〉の館をあとにする。
23日 デルネア、隷の長の懇願を受けアヴィザノに帰還する。隷の長に命令を下した後、トゥールマキオの森に行く。
夕暮れにハーンは遙けき野を越え、ルシェン街道に至る。
24日 サイファ、神託にもとづき、すべての疾風をフェル・アルム北部に展開させる。
“力”を求める使徒、ディエルとジル、フェル・アルム世界に来たる。
25日 昼頃、アヴィザノ西の果樹園にてサイファとジル出会う。
ジルは“転移の法”を用い、ディエルをフェル・アルム北部に転移させる。
“混沌”はついにフェル・アルムの夜を征し、夜空には星が一切映らなくなる。
26日 北部に転移させられたディエルは、行くべき方向を見失い、彷徨する。
7月1日 物忌みの日。
未明、ルシェン街道にてハーンとディエル出会う。ハーンら、クロンの宿りに着く。
フェル・アルム南部域でアズニール語が突如復活し、混乱に陥る。 (以降、ニーヴルの復活がまことしやかに囁かれるようになる)
2日 果ての大地にて、“混沌”は黒い空を形成し、フェル・アルム全土を飲み込むために南下を始める。
ハーンら、クロンの宿りを発ち、スティンへと向かう。慧眼《けいがん》のディッセ、ハーンと会う。
夜にハーンらは魔物と遭遇し、ハーンはレヒン・ティルルを用いてこれを倒すが、剣から放たれる闇の力を身に受け、ハーンは倒れる。その際に闇が解き放たれ、ドゥール・サウベレーンを象り、南方へと姿を消す。
ハーンの変容に呼応するように、ルードの所持する聖剣ガザ・ルイアート光り輝く。
デルネア、“力”を入手し絶対者となる決心を固め、トゥールマキオの森をあとにする。
3日 ディエルと商人の助けにより、ハーンはクロンの宿りへと帰るも意識は戻らず。
ルードとライカ、〈帳〉の館付近の森でマルディリーンと再会する。彼女の提言を聞いた〈帳〉は魔導を用い、ルード一行は遙けき野を瞬時に越す。
アヴィザノに闇のドゥール・サウベレーンが来襲するが、デルネアによって葬られる。
デルネア、烈火の将軍を名乗り、いよいよ歴史の表舞台に顔を出す。
サイファ、ジルより輝く珠《たま》を受け取る。
4日 アズニール語の伝達はサラムレにまで及ぶ。
朝方、ルード一行はサラムレに着く。
サイファ、神託に基づき、烈火発動の勅命を出す。二千の烈火達、この日のうちにアヴィザノ中枢、焔《ほむら》の宮に集結する。
夜遅く、ルード一行はサラムレを発つ。
5日 烈火が発動する。デルネアの指揮のもと、烈火は北部へと進軍を開始する。
“混沌”の勢力はついにクロン周辺にまで至る。
ハーン、意識を取り戻し、クロンの宿りに襲い来る黒い雲について住民に警告を促す。また、民を“混沌”から逃がすべく、カラファーやスティン方面に避難を開始する。
クロン一帯、“混沌”に飲み込まれ、住民の九割近くが犠牲となる。
サイファは、執政官クローマ・リセロ、近衛隊長ルミエール・アノウに相談を持ちかける。
6日 朝方、サイファ、ルミエール、エヤードはアヴィザノを発ち、烈火を追う。
ルード一行、南回りのルシェン街道を進み、ルードの故郷に到着する。夜にはスティンの丘陵地帯にまで至る。
7日 アズニール語の伝達、スティンにまで及ぶ。
昼下がり、ハーンとクロンの避難民はスティン高原に至る。ハーンはナッシュ家を訪ねるも、ほうほうの体で追い返される。
夜、ルード一行はスティン麓のラスカソ村に到着し、ここに泊まる。
8日 朝、サイファ一行はサラムレに到着する。
黒い空はスティンを襲う。ハーンはひとりムニケス山まで走り、身を挺して“混沌”を追い返すも、彼の身体に“混沌”の一部が侵入し、ハーンをひどく苦しめる。〈帳〉が発した転移の魔導により、ルード一行はハーンと再会、彼を介抱する。
ハーンは自らの力を用いて聖剣本来の“力”を発動させる。しかしハーンは力を解放し、いずこかへと飛び去る。
ハーン、ついに宵闇の公子レオズスとして覚醒する。
〈帳〉らの説得により、フェル・アルム北部の民は北部域からの離脱を決意する。
夕刻、烈火はウェスティンの地に至り、逗留する。
サイファ一行はサラムレをあとにする。
9日 疾風によって、ルミエール、エヤード両名殺害される。
デルネア、隷の長を処刑する。
10日 “混沌”の影響を受け、ついに空の色までが消え去り、虚ろな灰色となる。
サイファ、珠の力を用いてジルを呼び寄せる。サイファとジル、ディエルの居場所であるスティンへ転移する。
“混沌”の黒い空は再びスティンを覆う。北部の民は、領主メナードに率いられてラスカソ村をあとにする。
11日 北部の民、スティン丘陵を下り、夜遅くウェスティンの平原にたどり着く。
メナード伯、壁となっている烈火との交渉をルードらに一任する。
ハーンすなわちレオズス、ウェスティンの平原付近にて意識を取り戻す。
7月12日 早朝、北部の民と烈火、対峙する。サイファは勅命を下し、烈火を退ける。
“混沌”はスティンを飲み込み、さらに南下する。
デルネアとルード、一騎打ちを行う。デルネア、戦いの果てに聖剣を奪うも、所持者たる資格はルードが有しており、デルネアは深手を負う。
ハーン、一行と合流する。ライカ、ルードを救う際にアイバーフィンの翼を得る。
ガザ・ルイアートはついに“光”の本質にまで昇華し、迫り来る“混沌”をフェル・アルムから追放する。ガザ・ルイアートは姿を消す。
マルディリーンとディッセ、再度フェル・アルムに姿を見せる。
サイファとディエルはウェスティンの地に残るが、ルード一行とデルネアらは、ジルの転移の法によりトゥールマキオの大樹に赴く。
名も無き剣と大樹の力、そして魔導によって、還元のすべが発動される。
これにより、フェル・アルムの大地はアリューザ・ガルドへと還る。

↑ PAGE TOP

前章へ || 目次に戻る || 次章へ

↑ PAGE TOP

inserted by FC2 system